どもども!初心者ライダーの見方、すばるです。
今回は”ブレーキドラム”の清掃手順を説明していきますが…
今のバイクは基本的に『ディスクブレーキシステム』が採用されており、新型として登場するものは、どれもディスクブレーキになっています。
その為高年式のバイクに乗っている、乗り換えても高年式のバイクに乗るという人はディスクブレーキに関するメンテナンス方法を知っていれば何ら問題はありません。
ただバイク乗りの中には年式の古いバイクを「好きで乗っている」「お金の都合で乗っている」「気に入るデザインが古い年式」という色々な理由で乗っている人もいます。
その様な古い年式のバイクには『ドラムブレーキシステム』というブレーキが採用されています。※ちなみにアメリカンタイプのバイクは高年式でもリアタイヤ側はドラムブレーキを採用しているものが多いです。
ドラムブレーキはディスクブレーキとかなり形状や働きが違っている為、清掃方法も異なります。
ドラムブレーキに関するメンテナンスは紹介出来ていませんので、今回はドラムブレーキの清掃方法について説明していきますね。
ドラムブレーキ清掃前の準備3項目
ドラムブレーキ前の準備として揃えるものは以下になります。
ブレーキドラム清掃で準備するもの
- 規定トルク数値の情報
- 工具や道具
- ケミカル
上記3項目をしっかりと準備してメンテナンスに臨みましょう!
規定トルク数値
ブレーキドラム清掃を行うにはタイヤの中心を通っているアクスルシャフトを外さなければなりません。
その為、アクスルシャフトのトルク規定値は事前に調べておきましょう。
トルクロッドがある車種はトルクロッドにも規定トルクがあるかどうかの確認もしておきましょう。
工具や道具
使用する工具や道具を用意しましょう。
メンテナンスを行う前に工具などを準備するのは作業自体をスムーズに進める事ができ、疲労軽減や時間短縮に繋がります。
- トルクレンチとソケット 必須
- メガネやコンビなどのレンチ類
- ジャッキやスタンド
- サンドペーパー(紙ヤスリ)
- 真鍮(しんちゅう)ブラシ
- プラスチックハンマー
- ウェス類
メガネレンチやコンビレンチは出来るだけ長いものを用意すると、小さな力で済みます。
更に小さな力で済む場合は「バイク」にも「あなた」にも安全ですよ!
トルクレンチとソケット
トルクレンチとソケットは必須工具になります。
アクスルシャフトシャフトの脱着を行うので、トルク管理が必要となります。
必ず揃えておきましょう!
バイクのリアアクスルは大体”60~150N・m”なのでそのトルク帯をカバー出来るトルクレンチがあれば良いでしょう!
メガネやコンビなどのレンチ類
トルクレンチは基本的に締め付ける方向に回す為に作られています。
その為、ボルトナットを緩めるのには適していません(使用は可能です)工具を傷めない為にも、ボルトナットを緩める際にはトルクレンチ以外のレンチを使用しましょう!
ジャッキやスタンド
ドラム清掃はアクスルシャフトを外し、タイヤを外す必要があるのでタイヤを外してもバイクが倒れない状態にする必要があります。
なので、バイクを支えて置けるジャッキやスタンドが必要になります。
簡易リフトは、チェーン清掃や給油には楽ですがバイクによってはタイヤを外す事が出来る高さまで上げる事が出来ません。
その為、しっかりと上げ幅があるジャッキ類を選択しましょう!
サンドペーパー
サンドペーパーは『ブレーキシュー』と『ブレーキシューが当たるホイールの内側』を磨く為に必要になります。
メタル素材のシューとホイールの内側の鉄部分を磨く事になる為、番数は粗目(#40~100)を用意しておきましょう。
真鍮ブラシ(ナイロンブラシ)
細い溝などのダストをかき出すのに欠かせないのが、真鍮ブラシですね。
清掃系のメンテナンスを行う時は使っても使わなくても用意しておくと良いでしょう。
ちなみに今回は使用します!
プラスチックハンマー
プラスチックハンマーは抜けずらいアクスルシャフトを叩いてあげる事で抜けやすくする事が出来ます。
色々なメンテナンスで使用する機会があるので、揃えておいて損は無いでしょう。
ウェス類(ボロ布でも可)
ブレーキドラム清掃時には、古いケミカルの拭き取りやダストの除去の為にウェスを用意しておきましょう。
整備をする時はどんな作業でもウェスを揃えておきましょう。
▲ペーパーウェスを購入するなら”スコット ショップタオル”がおすすめ!
キッチンペーパーの様に取っていくタイプで、ある程度の分厚さと柔らかさがあって使いやすいですよ!
ケミカル類
次は必要なケミカル類にすいて説明していきます。
今回のブレーキドラム清掃で必要なケミカルは2種類になります。
- リチウムグリス
- シリコングリス
リチウムグリス
リチウムグリスは通称万能グリスと呼ばれており様々な箇所に利用出来ると言われています。
ただ、それぞれに特化しているグリスが出ているものはそれに適したグリスを用意・使用するのが一番なので、必要に応じて複数のグリスを用意する事をおすすめします。
今回のメンテナンスでリチウムグリスを使用する箇所はアクスルシャフトになります。
アクスルシャフトのネジ山、ネジ頭以外の箇所に使用します。
シリコングリス
シリコングリスはブレーキが可動する部分によく使用されます。
一口にブレーキといってもブレーキをかける際に色々な箇所が可動して制動力を生み出す事が出来ます。
可動部分の潤滑が足りていないと支障をきたす場合があるのでケミカル類の塗り直しはメンテナンスの際には必須と思っておきましょう。
ブレーキドラム清掃開始だ!
ブレーキドラム清掃簡易手順説明は以下…
簡単な手順説明
- アクスルシャフトを緩める
- ブレーキロッド、トルクロッドを外す
- ジャッキやスタンドでバイクを浮かせる
- アクスルシャフトを抜く
- タイヤを外す
- ドラム清掃
- グリスアップ
- 組付け
- お片付け
上記がざっくりとした手順になります。
それでは詳しく見ていきましょう。
アクスルシャフトを緩めておく
アクスルシャフトはもう何度も説明しているので知っていますね。
▲赤枠内なアクスルシャフトのナット部分になります。
先に緩めておくだけにするのにはちゃんと理由があります。
ジャッキアップをしてからアクスルシャフトを緩めるとなると、バイクが不安定な状態で結構な力を加える事になりあなたもバイクもとても危険です。
ボルトナットで一番力を必要とする時は、緩める時と規定トルクで締め付ける時なのでその時にはバイクはバランスが良い状態が望ましいです。
この場合は緩める時なので、ジャッキアップする前に行います。
ブレーキロッド、トルクロッドを外す
▲赤枠内のスプリングが付いている細い棒がブレーキロッドです。
ブレーキペダルを踏むと、これが引かれブレーキアームが可動する事によってブレーキがかかります。
ブレーキロッドは一番後方に位置しているナットをくるくると緩める方向に回し続ける事で外せます。
※スプリングや小さなワッシャーなどが付いている為、無くさないようにしましょう。
▲赤枠内がトルクロッドです。
トルクロッドの役割は、ドラムブレーキのブレーキシュー側が走行時にタイヤと一緒に回転しない様に止める役割をしています。
トルクロッドはボルトナットを取るだけで外れた状態になります。
外れたトルクロッドは下の方にずらしておくとタイヤを外す際に邪魔になりません。
※トルクロッド取り付けボルトに小さな穴がある場合があります。これはβピンなどのピン類を入れる穴となっています。ピンは無くても良いですが、あった方がもしもの時の安全性が違います。
トルクロッドが無い車種もあります。
この場合ブレーキドラム側とスイングアーム側で溝などが設けられており、対応した所にはまる事によりブレーキドラムが回ってしまうのを防ぐようになっています。
ジャッキやスタンドでバイクを浮かせる
ある程度外すものは外し、緩める所を緩めたらジャッキアップをしましょう。
※トルクロッドを緩めておき、ジャッキアップ後に外すでも良いです。
▲パンタジャッキなどで持ち上げる場合は当てる場所をしっかりとチェックして考えてから行いましょう。
メンテナンススタンドを持っている方はそちらの使用がおすすめです。
アクスルシャフトを抜いてタイヤを外す
ジャッキアップをしたのは、タイヤを外す為です。
その為ジャッキアップをしたらタイヤを外します。
ジャッキアップをすると、タイヤの重みがダイレクトにアクスルシャフトにのしかかる為、タイヤを持ち上げながらアクスルシャフトを横に抜いてあげなければなりません。
力が弱い女性などがこの作業を行う場合はジャッキアップを少し低めにしてあげる事によって、アクスルシャフトにタイヤの重みが乗らない様に調整してあげるとアクスルシャフトを抜きやすくなるでしょう。
この説明のすると「ジャッキアップが低くてもバイクは倒れない?」という疑問が挙がると思いますが、タイヤの代わりにジャッキが支えるようになるだけなので心配はいりませんよ!
また、アクスルシャフト部分のナットを外しただけではアクスルシャフトを持って引き抜く部分が少なすぎます。
ほぼ無い状態なのでナットを外したネジ山側を抜く方へ向けてプラスチックハンマーを使って叩いてあげる事も抜きやすくする為のポイントですよ。
アクスルシャフトを抜く事が出来たらタイヤは自由になります。
しかし、チェーンがスプロケットにかかっているので後ろに転がして取る事がすぐには出来ないでしょう。
一度タイヤをバイク前方に転がして、チェーンを外す余裕を作ってからチェーンを外し、それからタイヤを外しましょう。
※焦ってすぐにタイヤを外そうとすると、チェーンが引っ張られてバイクがバランスを崩す恐れがあります。1つ1つの作業を丁寧にやりましょう。
タイヤが外れたらドラム清掃開始
ドラムブレーキは、”ホイール側とブレーキシュー側”の2つに分かれます。
まずはタイヤ側から見ていきましょう。
▲ブレーキシュー側をホイール側から外すと、ホイール側は画像の様な形になっています。
清掃するのは内側で、画像の様にサンドペーパーを使用しゴシゴシと擦っていきます。
ブレーキシューを押し付けた摩擦によってブレーキをかける為、ブレーキシューの削られたダストがこべりついています。
サンドペーパーで擦って綺麗なシルバーが表面に見える様にしてあげましょう。
サンドペーパーで擦る程度であれば、ホイール内側に線傷がつく程度です。やりすぎなどは考える必要はないので、キレイになるまで擦ってあげましょう。
(錆びた茶色だったり、黒いダストが付いています)
入り口部分と、ブレーキシューが当たる部分の間にはちょっとした段差があります。
そこにもダストが溜まりやすいですが、サンドペーパーで擦る事が困難な部分になるので、そこは真鍮ブラシ(ワイヤーブラシ)でダストをとってあげましょう。
次はブレーキシュー側を見ていきましょう。
▲画像のブレーキライニングという所をサンドペーパーで擦っていきます。
ブレーキライニング表面にはライニング自体が擦れて出したダストが付着していたり、擦れた熱で色が変わっていたりします。
擦る事で表面が削れ本来の色が出てきますので、本来の色が出てくる程度に擦ってあげましょう。
それ以外の所々気になるダスト溜まりは出来る限り真鍮ブラシで除去してあげましょう。
各部清掃が終わったらグリスアップを行う
グリスアップを行う部分は…
グリスアップを行う部分…
- アクスルシャフト
- ブレーキカム部分
の2ポイントです。
グリスアップを行う部分には前回グリスアップが行われた際の古いグリスが汚れて残っています。
古いグリスはウェスで綺麗に拭き取ってからグリスアップをしていきましょう。
アクスルシャフトのグリスアップ
▲アクスルシャフトにはリチウムグリスを塗ります。
基本的には赤枠内だけでも問題ありません、赤枠内はホイールが当たる部分になります。ここには絶対に塗りましょう。
青色の部分は、ホイールが当たらない部分ですがスイングアームと重なる部分となっており、塗っておくと錆などを防いでくれるのでネジ山とネジ頭以外を塗っておくと良いでしょう。
ブレーキカム部分
ブレーキカムと言われても分からないと思います。
▲この部分です。
今回はブレーキシューを外さないので、上の画像のようにはっきりと見る事が出来ません。
▲ブレーキシューが付いた状態で見ると赤枠内部分です。
ブレーキアームをグググっと可動させてあげると、1枚目の画像の平たい部分が見えるので、そこにシリコングリスを抜ってブレーキアームを動かして馴染ませてあげましょう。
これでグリスアップは終了です。
組付け
最後は元通りに組み付けてあげれば作業自体は終了ですが、気を付ける点があります。
組付け字に気を付ける部分
- アクスルシャフトやトルクロッドのトルク管理
- ブレーキロッドの調整
上記2点が主に注意しなければならない部分です。
トルク管理
メンテナンスのどのページでも何度も言っていますが、トルク管理はとても大切な工程です。
なのでトルク管理は心配性なくらいが丁度良いです。
トルク管理をサボると後々あなたに大きなしっぺ返しが来る可能性があるので、しっかりと行いましょう。
ブレーキロッドの調整
作業序盤にブレーキロッドのナットをネジネジして外しましたね。この外したナットには結構重要な役割があるんですよ?
それは『ブレーキを踏む量の調整』又は『ブレーキの効き具合の調整』をしている所なのです。
ブレーキロッドのナットは”調整ナット”とも呼ばれるナットであり、奥に締めていけば行くほど軽い力でブレーキが効く用になります。
ただ、やりすぎると常にブレーキが効いている状態になってしまい、ブレーキライニングの早期摩耗や、ブレーキの引きずりによる加速力低下やバイクの押し引きが出来ない状態になります。
逆に締める量が足りないと、いくらブレーキペダルを踏んでもブレーキがあまり効かない、ブレーキペダルを踏んでもブレーキが効かないといった状態になります。
なのですべての組付けが終了したら、ブレーキペダルの踏み量の調整を行ってあげる必要があります。
調整方法は簡単で、ブレーキロッドのナットを締めたり緩めたりしながらブレーキペダルを踏み、元の状態もしくは理想の状態にしてあげるだけです。
ブレーキドラム清掃をすることが出来た人であれば調整作業自体はなんてことはない作業ですが、忘れてしまうという事がありますので重要項目として覚えておきましょう。
終わりに(まとめ)
今回のブレーキドラム清掃で『ディスクブレーキシステム』『ドラムブレーキシステム』両方の清掃手順をこのブログ内で説明した事になります。
ブレーキ清掃に関してはどちらも各ページを読んでもらう事で行う事が可能です。
ただ清掃で済む場合というのは、定期的にバイクに乗ってあげている人、バイクの保管が割と良い状態の人の場合です。
長期放置されていたバイクなどはオーバーホール(O/H)というあらゆる所を分解して1つずつ綺麗にしてあげる分解清掃が必要になる場合もあります。
清掃で済ます事が出来る様にバイクの管理をしっかりとしてあげて下さいね(^^)/
という感じで、現場(@su_ba_ru)からは以上です!
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