バイクのチェーン調整は工具さえ揃えれば基本的に整備初心者でも出来るような整備入門に適しているメンテナンス作業です。
しかし、チェーンがどのように伸びるか?どのような感じでチェーン関連の点検をすべきか?が分からないと調整作業が出来るとしても失敗する可能性があります。失敗談を参考にして気を付けるポイントをおさえておきましょう!
チェーン調整は工具さえあれば整備に不慣れな初心者でも出来る整備入門的な作業!だが、気を付けなければ失敗する可能性も高い。
チェーンは必ずしも全体が均一に伸びるわけでは無いので、一番張りの強い所で調整をするのが一番良い。調整が出来たと思っても様々な要因で乗り出すまでにチェーンが張るので何度かに分けて張り確認をするとグッド!
チェーン交換及びスプロケット交換をした場合では、新品だから大丈夫が命取りになる可能性もある…新品が粗悪品(不良品)の場合があるからだ。
DIY整備やメンテナンスが出来れば工賃分の出費が浮き、ライダーはバイクに対しての理解が深まる。しかし整備を失敗しない為には少しだけでもその部分の知識は勉強した方が良いでしょう!
こんな感じのページとなっています。チェーン調整自体は難しくない整備ですが、駆動部(足回り)と言う事もあってトラブルが起こると危険に陥る可能性も十分にあるのでトラブルが起こらない整備をしたいものですね!
バイクのチェーン調整の失敗談から学ぶ、気を付けるポイント!
バイクのチェーン調整は慣れた人なら10分~20分程度、慣れていなくても1時間あれば十分に完結できる初心者でも出来る整備です。なのでDIY整備をしたいと思い立った人にもおすすめです!
しかし、油断をすると「チェーンが切れる」「挙動がおかしい」なんて事にもつながるので注意が必要です。と言う事でいくつかの失敗談から気を付けポイントを知りましょう。
失敗談1:取説通りチェーン調整をしたが、張りすぎな部分出てきた…
先日チェーンがたるんでいたので、取説通りにサイドスタンドで立てた状態で中央部分で15mm~25mmの間に調整完了し、リアアクスルナットを締めました。
ところが、バイクを少しずつ移動させながら張り具合を確認すると、場所によってはピンと張っていたり、たるみがあったりしました。一度調整すれば、張り具合はどこでも一様だと思っていたので、不思議に感じました。皆さんのバイクはどうですか?
▲この失敗談には4つのミスや勘違いがあります。
- 一度調整すれば張り具合は一様(全部一緒)では無い
- バイクを少しずつ移動させながら張り具合確認は最後では無く最初
- リアアクスルナットを締めた直後にも張り具合の確認が必要
- サイドスタンド状態での張り確認以外にも、荷重をかけた時の張り確認も必要
上記4つを気を付ければより適切な張り具合を出す事ができたでしょう。1つずつ解説していきます。
1.一度調整すれば張り具合は全て同じでは無い。
大前提としてバイクのチェーンの伸びなどの変化はチェーン1周全てが同じ状況にはなりません。バイクのチェーンが伸びる時の主な状況としてはバイクの加速時に、スプロケットの回転にチェーンが引っ張られることによるものです。
この加速が急加速であればあるほど、チェーンに強い力が加わるため伸びやすい状況と言えます。この加速時に加わる力がチェーン1周にまんべんなく与えられるわけが無いのです。
つまり…あるライダーはたまたまチェーンの1箇所に集中して加速時の力を加えている場合もあれば、違うライダーはたまたままんべんなくチェーン全体に均等に力を加える事が出来ている場合もあるわけです。それを随時把握しながら走行する事は誰にも出来ません。
このようにしてチェーンの伸びが大きい部分と、小さい部分が出来上がるというわけ!
2.張り具合確認は最後では無く最初に行うべき
1.の説明でチェーンの伸び方は均一では無いという事が分かりましたね?なのでチェーン調整後に全周の張り具合の確認ではなく、調整前に全周の張り具合の確認を行うべきなのが分かったかと思います。
最初に確認をしておいて、一番張りの強い部分を基準に調整すれば失敗談のようなパンパンになってしまう部分と言うのは出てきませんからね!
チェーンの張り具合を調整する基準は「一番張りの強い部分」
1,2の説明でチェーンの伸びはどこも同じでは無く、チェーン全体の張り具合の確認は最初に行うべきと言うのがわかりましたね?では、どの部分を基準にしてチェーンの張り具合調整を行えば良いのでしょうか?答えはチェーンの一番張りの強い部分です。
- 一番張りの強い部分で調整→伸びが大きい部分は適正張りでは無い
- 一番たわみの大きい部分で調整→張りの強い部分がパンパン
▲2つの調整例が挙げられますが、チェーンのたわみが大きい部分を基準にすると張りの強い部分がパンパンになり、走行中のチェーン破断(切れ)のリスクが高い。
でも張りの強い部分で調整したら、たわみが大きい部分はチェーンが外れる危険とか無い?
確かにそのような「かもしれない」を予測するのは大切ですが、そこまでチェーンの伸びかたに差が出ているチェーンは使用続行せずに交換するべきチェーンだと言えます。
チェーンがパンパンな状態はチェーンの破断はもちろん、その他にも…
- ホイールベアリングの偏摩耗
- スイングアームピポット部ベアリングの偏摩耗
- リアアクスルシャフトへの負荷及びダメージ
- 両スプロケットへの偏摩耗
- などなど…
という弊害を生む可能性がおおいにあります。
上記の弊害は多くの人が「どこの事?」という感じでしょうが、簡単に言うとチェーン周囲のパーツが変な消耗の仕方をしたりして早くに交換が必要になったり、不具合を起こす可能性があるということ!
色々難しくて覚えられない…と言う人は、チェーンの一番張りの強い部分で調整をすれば大丈夫と言う事だけ覚えておけばOK!
3.リアアクスルナットを締めた後にもチェーンの張り具合を確認すべき
リアアクスルナットを締める時は、ほぼほぼチェーンの張り具合が決まった時になります。しかし、まだ油断してはいけません!
何故ならリアアクスルナットを締めた時にもチェーンの張り具合がやや強くなるからです。
リアアクスルナットを締め付ける部分はスイングアームの後端であり、このスイングアームと言うのはいびつなU字型をしており、締め込むことでスイングアームピポット部と、リアアクスルシャフト(ナットを締める部分)の距離が伸びるのです。
リアアクスルシャフトはリアタイヤの真ん中についている棒です。なのでリアアクスルシャフトが少しでも後ろに動くという事はリアタイヤについているスプロケット及びチェーンも後ろに引っ張られるという事になります。
なので、リアアクスルナットを締めるとチェーンの張りもやや強くなるという事なのです。
チェーンの張り具合を決定して、リアアクスルナットを締めてよし!じゃダメなんだね?リアアクスルナットを締めてからまたチェーンの張り具合を再確認する必要があるという事だね!
チェーン調整では1mm動くだけで張りが割と変わってきます。なのでリアアクスルナットを締めた後もしっかりと張りを確認するのが良いのです。
4.サイドスタンド状態での張り確認のほか、荷重をかけた状態でも確認するのが吉
リアアクスルナットを締めてチェーンの張りを確認し、最後にチェーンアジャスターナット/ボルト(チェーン調整用ナット/ボルト)の増し締め及び締め確認を行ったらほぼチェーン調整も終了です。
ですが、最後にひと手間かける事でより自分に合ったチェーン調整へと昇華させることが出来ます。それが荷重をかけたチェーンの張り具合確認です。
バイクは人が乗って動くものであり、バイクに人が乗る事でリアサスペンションが沈み、リアアクスルシャフト及びリアタイヤが後ろにやや下がる事で、チェーンも張ります。
つまり…人が乗っている状態こそが本来チェーンの張り具合を見るベストタイミング!と言う事になります。サイドスタンド状態は人が乗っていないので無荷重となり、人が乗った状態よりもチェーンがたわんでいる状態ですからね。
しかし、自分がシートに座った状態でチェーンの張り具合を確認するなんてまず無理!なので工夫をしましょう。
- サイドスタンド状態でバイクを停車
- バイク右側に回ります(サイドスタンドと逆側)
- 右側からバイクのシートに向かって立ち、そのまま体を折るようにしてお腹をシートの上に乗せます。
- 出来る限り体重をかけてリアサスペンションを沈ませる
- チェーンの張り具合を確認する
この手順で1人で荷重をかけた状態のチェーンの張り具合を確認する事が出来ます。倒れないようにだけ注意してくださいね!
このようにしてチェーンの張り具合を確認し、OKならチェーン調整完了!がベストな状態です。
チェーンの張り具合はチェーンアジャスターを締めた後も油断ならない!
3,4で説明した通りでチェーン調整はチェーンアジャスターナット/ボルトで張り調整をした後も油断なりません!
- リアアクスルナットを締めた時もチェーンはやや張る
- 人が乗って荷重がかかった場合はもっと張るし、それが本来の姿
といえるからですね!
アジャスターで調整して、リアアクスルナットを締めて「よし終わった!」と言いたい所ですが、その後の確認及び再調整をする事で、より自分に合ったチェーンの張り具合にする事が出来るというわけだからです。
体重なんかは人それぞれ違うから、荷重がかかった時の張り具合も確かにそれぞれ違ってくるね!
手間が増えますが、慣れればなんて事は無い作業なので回数を重ねて慣れていきましょう!
失敗談2:新品パーツが粗悪品(不良品)だった…
少し前にリアのスプロケットとチェーンを交換しましたが新品なのに場所によって張り差が🤔
ノギスで計測したらスプロケットのセンターが少しだけズレていました。有名メーカーだったんですけどね🤔
たまにこんな事もあるのでご注意を。 https://t.co/x1IVrqDlCx— 木公® (@Japan_Missile) May 31, 2021
チェーンに大きく関わるパーツ3つ
- ドライブチェーン(いわゆるチェーン)
- ドライプスプロケット
- ドリブンスプロケット
この3つが直接的にチェーンに大きく関わるパーツです。
チェーンが交換時期だからチェーンだけを交換しよう!
チェーン交換する時は、各スプロケットも同時に交換した方が良いよ!
などなど色々と交換のパターンもありますが、とりあえずそれは置いておきます。
いずれにしてもチェーンに関わる3つのどれかを交換した場合には必ずチェーンの調整が必要になります。
チェーンもスプロケット2つも新品にした場合にこんな事例があります。「スプロケットはもちろんチェーンも新品だから伸びの差なんて無いからどこで調整しても大丈夫!」のはずだったんだけど、調整後に張りの強い部分とたわみの大きい部分がある…
チェーンは新品なので伸びや摩耗はまず無い、スプロケットも新品だから摩耗は無い…何故?答えはスプロケットの穴位置が中心では無かった粗悪品(不良品)だったという話。有名メーカーの製品だったがこんなこともある…
ぱっと見では判断が付かない粗悪品(不良品)と言うのが紛れているのも事実…なので、新品を付けたにも関わらず何かがおかしいという場合は、新品パーツを疑ってみるというのも大切と言う事ですね!
画像に書いたみたいに赤丸の位置にあったらズレてるよね?こんな事も稀にあるみたいだよ!
まとめ:チェーン調整は比較的お手軽整備だが、油断は禁物!
チェーン調整は工具もたくさん必要なわけではなく、比較的始めやすいDIYメンテナンスとして人気もあれば、おすすめも出来る整備です。
だからと言って油断はしてはいけない…チェーンの張り調整部分はしっかりと確認しなければ「整備完了!」と思った矢先にやり直し宣告をされかねない。
- ちゃんと一番張っている部分で調整したのか?
- アジャスターで位置/張りを決めたが、リアアクスルナットを締めた後に張り確認をしたか?荷重をかけても適正か?
気を抜いているとこれらが抜けてしまう…DIYで自己責任なのですが、せっかく自分で愛車をメンテナンスしているライダーさんにはやる気を落としてほしくはない。
確認事項を徹底すればミスもやり直しもなくせます!そして慣れればかなり早く調整が出来る様になる初級的な整備です。上手にやって自信につなげて下さいね!
あと新品パーツだとしてもしっかりと確認をする事もわすれずにね!
という事で、現場(@su_ba_ru)からは以上です!
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